陸上自衛隊 東部方面隊 第12旅団

松本駐屯地 創立55周年記念 駐屯地祭
その3

 

 お待ちかねの模擬戦闘訓練展示。今年は市街地戦を展示する。ここ数年、自衛隊も野戦のみならず市街地・接近戦を想定した訓練を重ねている(市街地の真ん中の駐屯地なので、騒音の少ない市街地戦にしたという話もあるが・・・)。


武装工作員が占拠する部屋。同じものがグラウンドの東・中央・西の3箇所に設置されたので、どこに座っていても見えるという配慮がなされていた。


想定・武装工作員。こうした展示訓練では、工作員役も自衛官が演じることが多いのだが、今回は風船。

 まずは左手上空よりUH-60が進出、隊員の降下を開始する。


説明によれば、13普連は全員がラペリング降下訓練を受けているとのこと。

 同時にCH-47も降下。隊員を降下させる。

今回は全員が防弾チョッキを着用。

 続いて、敵の偵察を開始する。

オートバイによる偵察を開始。毎度のことながら、素晴らしいライディングテクニック。

OH-6による航空偵察。赤外線モニターを搭載し、リアルタイムで転送することが可能。

 AH-1Sが進入、地上部隊を援護する。

 煙幕の中、地上部隊が目標の建物に逼迫。

 4人1組で行動し、常に全員の体の一部が密着しながら射撃姿勢をとる「スタック」という前進方法で、突入口まで進む。





コーナリングの瞬間。一番手(ポイントマン)がコーナーを曲がった後、二番手(組長)はポイントマンの肩にライフルを乗せるように照準。インドアサバゲでも応用が出来るだろう。

一番手が手信号(ハンドサイン)で停止を伝える。

 組長の「突入!」の合図と共に全部隊が部屋を制圧する。





一番手はドアを蹴破ると部屋の外、右方向の警戒。組長は突入と同時に左側の工作員を射殺。三番手が右の工作員を射殺。四番手がさらに続く。


四番手が部屋を制圧したことを示すマーカーを設置。

 この後、突入までの流れをもう一度ゆっくりと解説し、訓練展示は終了した。

 昨年のように、野砲を大量に使用するような派手さはない訓練展示であったが、しかしこうした市街地戦を展示することは、野戦とは違う“逼迫感”がある。9.11テロ以降世界の先進国でも、特にイスラム原理主義によるテロが頻発し、日本もまたその対象として名前を挙げられたこともある。北朝鮮による日本人拉致もその実体が明かされたばかりであり、今後それ以上の工作活動が行われないとも限らない。いつ何時、この日本がテロの現場になるか判らない。誰もが被害者になる可能性があるし、もしかすれば巧みな罠によって、自身が容疑者にさせられてしまうかもしれない。それを個人の力で防ぐことは難しい。

 こうした情勢の中だからこそ、自衛隊という抑止力が必要になる。それまで野戦訓練主体であった自衛隊が、市街地の防衛あるいは敵支配地域の奪還を訓練するのは、もはや必要不可欠である。松本駐屯地は第12旅団の隷下であるが、この第12旅団は空中機動部隊としてヘリコプターによる即応展開を標榜している。第12旅団そのものが、日本の山岳地における展開を目的として構成されているのだ。松本駐屯地も山岳レンジャーの育成を行っている。その第12旅団隷下部隊で初めて、室内戦闘を一般公開したのがこの松本駐屯地だということは非常に意義深い。自衛隊、ひいては日本や世界の変わり目が目の前に来ていることを、まざまざと見せつけられた訓練展示であった。


「任務終了!」高機動車に乗り目標を後にする。

 

 

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