SIG SG 551-2 P SWAT
(東京マルイ商品名 SG551 SWAT)


実銃

 ヴェトナム戦争においてアメリカ軍が採用したM16の使用する 5.56 mm×45という高速小口径弾は、それまでの7.62mm×51NATO弾に比べ威力・飛距離の面では劣るが、反動が少なくフルオート射撃がしやすかった。その後5.56mm弾がNATO第2標準弾となると、各国の軍は挙って小口径のアサルトライフルを採用した。

 一方スイス連邦軍では、山岳地形という国土から長射程・高命中率を重視し5.56mm弾は支持されなかった。しかし世界的な小銃の小口径化が進む中、スイスでも小口径ライフルへの関心が高まり、1979年から80年にかけてスイス軍は制式採用アサルトライフルのトライアルテストを実施した。これを受けSIG(Schweizerische Industrie-Gesellschaft:スイス工業社)の機材/小火器部門(後にSIGの名称はドイツのザウエル・ゾーン社に売却し、スイスアームズ社となる)が開発を開始する。SIGはこれ以前に、小口径小銃をイタリアのピエトロ・ベレッタ社と共同で開発していたが、作動方式でガスオペレーションを主張するベレッタ社に対してSIGは反動利用方式を推し、結局SIGは独自開発によってSG 540を開発した(しかし開発途中で反動利用方式を断念し、SG 540はガスオペレーション式になっている)。このSG 540がベルン造兵廠の試作品とトライアルにかけられ、SG 540が採用された。
 そして1983年、遠射性能を高めた5.6mm
×45弾(採用名Gw Pat.90)とともに、同社のSG 550が採用名StG90(ドイツ語)、F ass90(フランス語)として採用された。ちなみに、GP90用がSG550-1、5.56mmNATO弾用がSG550-2とフレームに打刻されている。経済的理由から、量産は3年後の1986年からとなった。

 SG550の作動方式はガスピストン方式、交戦距離は300mを想定しており、この距離でのグルーピングは7cm×7cmとなっている。命中精度を向上させるため、SG550にはバイポッドを標準装備している。マガジンは20発装填のものと30発装填のものがあるが、スイス軍ではプローン射撃(伏せうち)の際に邪魔にならない20発装填のものが多用されている。軍用モデルの発射機能はセミ・フル・3点バーストのセレクティブファイアとなっている。

 その後、SG 550のカービンモデルであるSG 551も開発された。大量生産のアサルトライフルでありながら、SG 550は狙撃銃並の驚異的な命中精度を誇っており、通常であれば銃身の短縮化に伴い失われる精度はSG 551も維持している。
 なお、SG 551という名称は民間用であり、スイス軍内での呼称はSG 541コープスバッフェ、後にStGw90アサルト・カービンとなる。

 SGのマガジンは左右にコネクターがあり、クリップなしで連結が可能。そのマガジンもシースルーのプラスティック製のため残弾確認が容易であり、同時に耐久性維持とコスト低下に貢献した。フォールティング(折り畳み)ストックは通常ガタつくため精度に大きく影響するが、SGのものは固定式並の使用感を持つ。バヨネットラグ(着剣装置)にはバイポットが装着可能。しかし1挺約30万円とM16の8倍もの高価格が欠点となり、採用する国・部隊は少ない。

 現在ではSG 551よりもさらにコンパクトなSG 552モデルが作られたが、コンパクト性と精度の両立を必要とするURT(人質救出部隊)ではSG 551も多用されている。その優秀さからドイツ国境警備隊特殊部隊「GSG-9」、フランス憲兵特殊部隊「GIGN」、“台湾SWAT(TMPD SWAT)”こと台湾国家警察特殊部隊「霹靂小組」等でも使用されている。
 ちなみに、実銃ではSG 551には軍用の551、警察用の551-2/Pモデル、スコープとチークパッドを載せた551/P ロー・エンフォースメント・ライフル(P SWAT)モデル、バレルをライフルグレネードが使用出来るものに換装したLBモデルがある。


エアガン

外見

 ノーマルサイズのSG 550ではフロントが長すぎて取り回しづらい感があるが、カービンサイズのSG 551ではコンパクトにまとめられているので、サバイバルゲームでブッシュの中を進むときなどにも不便ではない。
 しかし、フォールティングストックは輸送時などはコンパクトになり取り回しやすい反面、スケルトンでとても軽いため構えるとバッテリーや電子回路を積載したフロント部分とのバランスが悪い。さらに、落下時などに受ける衝撃をメカボックスまで伝えないよう、ストック基盤と後部がネジ
1本で結合されているだけなので、かなりもろく耐久性に欠ける。事実その結合部分が折れてしまったので、当方はこの部分が改良された(ネジが3本に増えた)SG 552のものに換装している。ただし、SG 552のものでも完全に是正されたようではないので、壁に立てかけたりすると簡単に折れてしまうことがあるらしい。
 セレクターレバーが左右についており(ストック折り畳み時には右側セレクター操作不可)左利きでも操作しやすく、親指のアプローチもしやすい。マガジンキャッチもレバー式で左右どちらの手でもリロードが出来る。


ストック基部。これはネジが3本に増えたSG552用に換装したもの。

 ただ、驚くほど塗装が剥げやすい。指が当たるトリガーやセレクターレバー、スリングを通すスイベルリング、マズルなどグレーの部分は、簡単な接触でもあっというまにボロボロと塗装が剥げる。下地の処理をしていないためなので、再塗装してやるときにはまず処理をしなければならない。

 M16系では弱点と云われる“首”部分は十分な強度があるようである。ただ、ハンドガードがプラ製なので若干ギシギシと音を立てるのが気になる。フロントサイトは上下左右の調整機能はないが、折りたたみ式の夜間用サイトが付属する。リアサイトはドラム式で上下左右に微調整可能である。実銃ではターゲットとの距離に合わせて適正なものを選ぶのだが、エアガンではあまり意味はない。距離を示す「1」「2」といった数字は実銃ではホワイトやレッドが入れられており、塗装してみても良い。


フロント部分。フロントサイト後部にあるのは折りたたみ式の夜間用サイト。

 ホップアップ調整はエジェクションポート内の調節用ダイヤルを廻して行うのだが、M16やステアーのようにダミーボルトがオープンで固定出来ず若干やりずらい。ダイヤル自体は大きくて操作はしやすいので問題はないが、調節しながら試射するのは困難であると思われる。

 

動作

 この電動ガンの最大の特徴は、SG 550と並んでマルイ電動ガン中唯一搭載されている電子制御可変バーストシステムである。電子回路により電流を適意にカット、2バーストから8バーストを任意に選択できる。リアリティという点では面白い機能だし、弾数制限のあるゲームでは有用かもしれない。だが、そもそもバーストショットは実銃では初心兵が恐怖からトリガーを引ききることを防ぐ機能だが、電動ガンではフルオートよりもバッテリー消費が早く、また指切りバースト(フルオート時にトリガータップを繰り返すこと)で事足りてしまうこともあり、あまり評判はよくない。コストが高く、複雑な配線の為メンテナンスやカスタムが困難と云うこともあり、新製品のSG 552ではオミットされた。事実サバゲでバースト射撃を使用することは殆どないと思われる。

バーストコントロール基盤(黒いカバーの下)

バースト時の発射弾数調整ノブ

 マガジンは実銃における20連発マガジンをモデルにしているため装弾数が60発(多弾数マガジンでは220発)と少なく、さらには多弾数マガジンの巻き上げが悪くしばしば給弾不良となる。両サイドの連結コネクターにより複数のマガジンを同時に携行できるが、マガジンを連結するとストックが折り畳めなくなる。

 その一方、エアタンクとバレル長の相性が良く命中精度や初速が非常に安定している。その精度はおそらくマルイの電動ガン中でもトップクラスであり、ハイレベルなスナイピングが期待できる。カスタムメーカーから発売されているアウターバレルを使用すればサイレンサーも装着出来、スナイパーライフルとしての使用も有効と思われる。

  オプションでは今まではハイマウントベースとそれに合わせたチークピースのみだった。ハイマウントベースはプラ製で軽く扱いやすかったが、その高さのためにチームピースが必要だった。しかしチークピースを使用するとアイアンサイトが使えなくなる。SG552の発売を機にローマウントが揃えられ、チークピースを使わずスコープなどのサイティングが可能となった。マガジンが短いためプローンの際にも邪魔になることがない。リアサイトはドラム式のフルアジャスタブルと、M16A1等と比べ調整しやすく、顔が低い位置を保ち発見率や被弾率も下がる。フロントサイトには起立式の夜間用サイトがあり、説明書では発光塗料を塗ると良いとあるが、当方では高価な塗料に代わり畜光シールを貼っている。

 

総評

 初心者でも困らずに扱えたり、1日中サバゲで使っても疲れない機種、色々とカスタムパーツを付け足していく機種を望まれる方には不向きな銃である。日本では知名度もそれほど無いし、実際の戦争や事件で多用されたこともない。だが、ゲームを数多くこなしていくうちに、もしSG 551に食指が動いたなら、試してみるだけの価値はあるかもしれない。精度面ではマルイの電動ガンシリーズ中最高級の性能を持っている。

  実銃 エアガン
名称 SG 551 P-SWAT SG551 SWAT
開発国/生産国
(メーカー名)
スイス
(SIG)
日本
(東京マルイ)
全長 607/832mm 609/832mm
銃身長 363mm 364mm
重量 3400g 2700g
口径 5.6×45mm 6mmBB
装弾数 20/30 60/220

 ところで、このSIG SG551も長年使っているとあちこちに傷が出来、また内部も次第に老朽化してくる。そんなわけでちょっとしたチューンとカスタムをしてみた。

電動SIG SG551 チューンナップ&カスタム

 

 

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