!自衛隊レーション試食会!

 2005年9月3日、某予備校で行われた「防衛大学校・防衛医科大学校入試説明会」において、参加者にレーション、戦闘糧食が記念品として配られた。そこで入手した戦闘糧食1型の試食報告を行う。


@自衛隊の戦闘糧食

 太平洋戦争中の旧日本軍では、食糧を現地調達しようとしたため多くの餓死者が出るという悲惨な状況が各地で散見されました。その経験から、戦後に発足した自衛隊においては、レーション(Ration)と一般に呼称される戦闘糧食も含め、食事を重視しています。

陸上自衛隊に於ける食事の分類
基本食 平常食 駐屯地で取る食事、野外すい具で調理した食事、駐屯地から輸送した運搬食
患者食 通常の食事が行えないものに配給
非常食 (1)出動 出動待機 災害派遣または地震防災派遣を命ぜられたとき
(2)天変地異に遭遇したとき
(3)平常食または患者食の材料が途絶 その他の理由により支給出来ないとき
      に配給
増加食 平常食では補えない栄養素の補給(空挺食、演習増加食、潜水艦食など)
加給食 航空機搭乗員・潜水士など極度の緊張状態を強いられるものに配給

 このうち、非常食として支給されるものがレーション、戦闘糧食です。

 自衛隊の戦闘糧食には2種類があり、昭和29年に採用された“カン飯”こと缶詰の「戦闘糧食1型」と、平成2年に採用された“パック飯”こと戦闘糧食2型があります。前者は主食の飯缶・乾パンが6種類、漬物缶が2種、副食缶が9種類で、主食及び副食3〜4缶を組み合わせ1食分とし、「非常用糧食」という位置づけであるのに対し、後者は比較的頻繁にメニューが変更され、「軽包装糧食」と呼称されます。

 


Aカン飯試食

 さて、今回入手したのは「戦闘糧食1型」のうち、「たくあん漬」と「鶏肉野菜煮」の2種類です。

たくあん漬

DSP番号:DSPN5101C DSP名称:「たくあん漬缶詰」 制定:昭和61年4月4日 最終改定:平成13年6月28日
内容総量:70g 固形量:45g
製造:九州食料工業K.K.

 

鶏肉野菜煮

DSP番号:DSPN5109B(1) DSP名称:「鶏肉野菜煮缶詰」 制定:昭和62年12月16日 最終改定:平成14年7月8日
内容総量:75g
製造:宝幸水産K.K.

※DSP:防衛庁仕様書

 まずはたくあん漬。昆布や香辛料を加えた調味液に、2センチほどにぶつ切りされた大根が5つほど入っています。缶詰の漬け物というと歯ごたえが無さそうな印象ですが、このたくあん漬はその厚みのお陰かざっくりと心地よい音がして歯ごたえが楽しめます。味付けも濃くもなく薄くもなく、僅かな酸味と昆布の旨味が大根に濃縮されています。また、調味料そのものも昆布ダシがきいており、これをごはんにかけても非常に美味。もちろんたくあんそのものは単品として充分堪能でき、ごはんの添え物、というイメージを大きく変えた一品です。

 続いて鶏肉野菜煮。鶏肉の他、さといも、ごぼう、たけのこ、にんじん、しいたけがしょうゆ、砂糖、水あめベースの調味液で煮込まれています。どの野菜もしっとりととろけるような歯触りで、調味液がしみこんだ格別な味。メインの鶏肉は、豚の角煮の様な外見ですが、こちらはとろけてしまうほど柔らかくはありませんでした。意外と繊維がしっかりと残っていましたが、それでも調味液はしっかりとなじんでおり、ほのかに甘い香りが漂い、食欲をそそります。鶏肉に皮がついていましたが、こちらは滑らかな舌触りで、噛まなくてもするっと喉へ送られる柔らかさでした。

 どちらも日本人好みの実にマイルドな味わいでした。以前食べてみたことのあるアメリカ軍のレーション(MRE)が、水分の少ないぼそぼそとしたものであり、食感や味の楽しみよりも食べる量や栄養分に重点が置かれていたのが明確であったのに対し、自衛隊の戦闘糧食はなお一層、食事という喜びを感じさせるものでした。聞けばカンボジアPKOの際、参加国でのレーションコンクールで自衛隊の糧食が1位になったとのこと。その実力は舌と喉でひしひしと感じました。


B軍用レーションを扱う上での注意点

 さて、今回の戦闘糧食は自衛隊長野地方連絡部からお越しになった自衛官の方から無料で頂いたものです。これ以外にも、駐屯地や広報センターのイベントなどで民間人が糧食を食べる機会は僅かですが皆無ではありません。是非興味のある方は情報収集をしてみてはいかがでしょうか。

 しかし一方で、こうした戦闘糧食は防衛庁が税金で購入した国有財産であり、自衛隊に納入された糧食を、金銭を用いて売買することは法に触れる危険性(業務上横領)があります。また、国外の軍隊が使用するレーションも本来民間人への売買は禁止されています(日本国内では適用不可)。また、食品衛生基準法により、喫食目的の販売も許可無く行えません。オークションで散見される品は、備蓄され現場に出ても消費されなかった新古品であることもあり、食べるには少々抵抗もあります(なお、自衛隊の戦闘糧食1型は製造から3年、2型は製造から1年が賞味期限です。また、米軍のレーションはメニューにより異なります)。

 このような状況において、食べるために国内外の戦闘糧食を入手するのは困難ですが、それでもインターネット上にはいくつか戦闘糧食を販売するサイトがあります。色々なサイトや人脈を参考にしてみるのがよいでしょう。

 最後に、このサイトは戦闘糧食の喫食を推奨するものではありません。また、戦闘糧食の購入や飲食にあたって発生した事件・事故・問題などについて、管理人神楽は一切の責任を有しません。あくまでも戦闘糧食を食べる際は十分に注意し、事故責任のもとで行って下さい

 

参考サイト:「THE戦闘糧食」

 

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