日本の文化、「食玩」。本来お菓子のおまけであったチープなおもちゃは、今や精巧なミニチュアとなり、本来メインであるはずのお菓子からその座を奪うほどになった。各メーカーから無数に発売される食玩。アニメキャラから船舶、航空機、車両、そして――銃器。今回は文字通り「食GUN」としてその姿を現した「1/3 SCALE COMBUT GUN FILE」をレポートする。
この株式会社ばにーぷらんから発売された「COMBUT GUN FILE THE BERETTA」を発見したのは、自宅近くの銃砲店であった。"おっちゃん"こと店主が面白半分で置いたのだろうが、その魅力は模試帰りの私を引きつけて離さなかった。
株式会社ばにーぷらん 「1/3 SCALE COMBUT
GUN FILE THE BERETTA」
300円
ぱっと見はありがちな食玩のパッケージと同じサイズ。しかし、そこには心躍る文章が添えられていた。
ピエトロ・ベレッタ社公認
ウエスタン・アームズ監修
本国イタリアのベレッタ博物館にて展示決定!
正直WA社には、個人的にそれほど良いイメージがないのだが、それでも実銃メーカーお墨付きとまで謳われれば、購入しないわけにはいかない。
機体に胸を膨らませながらパッケージを開封すると、そこから出てきたのは小さな小さなM1934。実物でさえ全長わずか150mm弱のM1934が、更に1/3の5cm!
セット内容:フィギュア・展示ベース・解説カード・ガム
可愛い、という形容詞は恐らくこの銃のためにあるに違いない。しかし、どれほど小さく可愛い銃でも、銃は銃。その作り込みの丁寧さに更に驚く。
左右サイド。照明の関係でガンブルーのような色彩になってしまったが、実物はグリップが艶あり黒、フレーム・スライドは艶消し黒。
幅1mmしかない文字でびっしりと打刻されたスライド、「P.B」のロゴが輝くグリップ、セーフティレバーには安全位置を示す赤い点までちゃんと着色されている。しかも更に驚くべきことに、このベレッタ、スライドとハンマーが可動するのである!
ホールドオープンした状態。左上の弾丸はマガジンに着脱出来る。
ちゃんとしたクリック感があるスライドオープン、それに併せてハンマーもコックされる。残念ながらトリガーはフレームと一体成形なので動かないのだが、ハンマーも滑らかに指でコックやダウンが出来る。銃弾も展示用に連結された3発とは別に、マガジンに装填出来るものが1発付属する。勿論、9mm×17弾の1/3なので、直径は3mmほど。パッケージの写真を見る限り、どうやら9mm×17と9mm×19は違うサイズの弾丸が付属するようなので、その丁寧さに畏敬する思いだ。
これに付属して、解説カードとガム(繰り返すが、本来はこちらがメイン)がある。解説カードの写真は残念ながらWA社のガスガンなのだが、僅かながらも解説コメントがついていたりして、しかも単位がインチ・オンスと本国イタリアをさしおいてアメリカナイズされていたりと、不思議な出来である。ガムの方は噛むと何故か果物系の味がした。・・・まあ喜んで食べられるような味ではないのだが。
解説カードとガム
勿論、込み込みでたった300円のフィギュアなので粗を探そうと思えばいくらでも見つかる。スライド、フレーム、バレル、マガジンのすべてにパーティングラインがくっきり残り、弾丸のリムをはじめ多くの部分に、シャーシから切り離したバリが痛々しく残る。しかしそれでも、このサイズとこの値段で、刻印がしっかりと打たれ、ライフリングが再現されているあたり、さすが日本の伝統文化・食玩であると改めて敬服する思いである。
あいにくと我が家にはベレッタ系の銃が無いのでグロックでサイズ比較
マズルにライフリングが再現されているのがお判りだろうか。
ちなみにバレルはマズルの奥数mmのところで完全に閉鎖され、チャンバーまで見ることは出来ない。
パッケージ裏をみると、M92FS・M92FS Inox・M84FS Cheetah Nikel・M84FS Cheetah・M8045 Cougar F・M8045 Cougar F Inox・M1934 Half silver・M1934・M93Rとそうそうたるラインナップ。ちなみに、M93Rはレアアイテムとして紹介されているのだが、前出の"おっちゃん"が店内ディスプレイ用に一箱開けたところ、このM93Rをビンゴしてしまったという逸話がある。是非とも見つけてみたい。
300円とお手軽な価格、是非全シリーズを揃えてみては如何だろうか。残念なのはパッケージに封入されている銃の名称が表示されていない為、下手すると同じ銃ばっかり揃ってしまうこともありそうだが、それもまた食玩の楽しみかもしれない。
ディスプレイにもベレッタのロゴが。